既存VPN移行サービス

既存VPN移行サービス

更新

なぜ従来型VPNから移行すべきなのか

IPsec VPN、SSL-VPN、OpenVPNなどの従来型VPNは、長年にわたり企業のリモートアクセスを支えてきました。 しかし、クラウド化、リモートワークの常態化、拠点の分散化が進む現在、従来型VPNは設計の前提が時代に合わなくなっています。

攻撃面の露出

従来型VPNの最大の弱点は、VPNゲートウェイがインターネット上に公開されている点です。 攻撃者はShodanやCensysなどのスキャンツールで、公開されたVPNエンドポイントを容易に発見し、脆弱性を突きます。 実際に、国内外の主要なVPN装置の脆弱性を悪用した攻撃が繰り返し発生しています。 TailscaleはWireGuardベースのP2P接続で、インターネット上に公開されるゲートウェイが存在しないため、この攻撃面を根本から排除します。

パフォーマンスの限界

従来型VPNでは、すべてのトラフィックが中央のVPNゲートウェイを経由するため、ユーザ数やトラフィック量の増加に伴いボトルネックが発生します。 東京のVPN装置を経由して大阪の拠点にアクセスするような非効率な経路は、レイテンシの増大と帯域の浪費を招きます。 TailscaleのP2P接続は、端末間で最短経路を自動的に確立するため、VPNゲートウェイのボトルネックがなくなり、レイテンシが大幅に改善します。

運用コストの増大

VPN装置の保守・ファームウェア更新、証明書管理、ユーザアカウントの管理、障害対応、ライセンス更新。 従来型VPNの運用には多大な人的コストがかかります。 特に複数拠点にVPN装置を展開している場合、各拠点の装置を個別に管理する必要があり、運用負荷は拠点数に比例して増大します。 Tailscaleはクラウド管理のSaaS型サービスであるため、VPN装置の物理的な保守が不要になり、管理コンソールから全拠点を一元管理できます。

ゼロトラストへの非対応

従来型VPNは「ネットワーク境界の内側は信頼する」という境界型セキュリティモデルに基づいています。 一度VPNに接続すれば、同一ネットワーク上の全リソースにアクセスできてしまう設計は、ラテラルムーブメント(横移動)による被害拡大のリスクを内包しています。 TailscaleのACLによるゼロトラストモデルでは、「誰が、どのデバイスに、どのポートでアクセスできるか」をリソース単位で制御し、不要なアクセスを原則すべて遮断します。

移行対象となる従来型VPN

以下のVPN環境からTailscaleへの移行を支援します。

移行対象のVPN種別
VPN種別概要よくある課題
IPsec VPN拠点間接続で広く利用されているハードウェアVPN装置装置の老朽化、ファームウェア脆弱性、拠点追加のたびに設定変更が必要
SSL-VPNリモートアクセス用途で普及したゲートウェイ型VPNゲートウェイの脆弱性が繰り返し公表、ライセンス費用の高騰、クライアントの互換性問題
OpenVPNオープンソースベースのVPN(自社構築・マネージド問わず)証明書管理の煩雑さ、スループットの限界、自社運用の属人化
L2TP/PPTPOSやルータに内蔵された旧世代のVPNプロトコル暗号化の脆弱性(PPTP)、NATトラバーサルの問題、現代のセキュリティ要件を満たさない
SD-WAN / ZTNAクラウド型のネットワーク/ゼロトラストソリューション高額なライセンス費用、過剰機能、導入・運用の複雑さ
クラウドVPNパブリッククラウドが提供するマネージドVPNサービスクラウドベンダーロックイン、マルチクラウド環境での管理の煩雑さ

「いきなり全面切替」はしません

VPN移行の最大のリスクは、業務の中断です。 「金曜日に旧VPNを停止して、月曜日から新VPNに切り替える」というビッグバン移行は、想定外の問題が発生した際のロールバックが困難で、業務停止のリスクが極めて高くなります。

Velumeshでは、並行運用期間を設けた段階的移行を原則としています。 既存のVPN環境を稼働させたまま、部署・拠点・ユースケースの単位でTailscaleへの移行を段階的に進め、各段階で品質を検証した上で次のステップに進みます。 問題が発生した場合は即座に旧VPN環境に戻せるため、業務への影響をゼロに抑えます。

移行の進め方

既存VPN移行の6ステップ
フェーズ内容成果物期間目安
1. 現状調査 既存VPN環境の棚卸しを行います。
  • VPN装置の機種・バージョン・設定
  • 接続元と接続先の組み合わせ(誰がどこにアクセスしているか)
  • 利用プロトコル・ポート
  • 拠点間接続のトポロジ
  • 現在の通信品質(レイテンシ、パケットロス、スループット)
現状調査レポート 1〜2週間
2. 移行計画策定 調査結果に基づき、移行計画を策定します。
  • 移行のスコープと優先順位(どの部署・拠点から移行するか)
  • TailscaleのACL設計(既存VPNのアクセス制御をTailscaleに翻訳)
  • 並行運用の期間と切替判断基準
  • ルーティング設計(Subnet Router配置、Split DNS設定)
  • ロールバック手順
  • ユーザ展開手順とスケジュール
移行計画書
ACL設計書
ネットワーク設計書
1〜2週間
3. パイロット導入 情報システム部門やIT部門など、技術的に対応力のある部署で先行導入します。
  • Tailscaleクライアントの展開
  • ACLの適用・動作確認
  • 既存VPNとの並行運用開始
  • 通信品質の比較計測(Catchpointによる定量評価)
パイロット結果報告書 1〜2週間
4. 段階的展開 パイロットの結果を踏まえ、部署・拠点単位で順次展開します。
  • ユーザへのTailscaleクライアント配布・インストールガイド提供
  • IdP(Azure AD / Okta / Google Workspace等)との認証連携設定
  • Subnet Routerの追加設置(ハードウェア構築・組込み支援と連携)
  • 段階ごとの品質検証と問題対応
展開進捗報告書 2〜8週間
(規模による)
5. 旧VPN撤去 すべてのユーザ・拠点がTailscaleに移行完了し、安定稼働を確認した後、旧VPN環境を撤去します。
  • 旧VPN経由のトラフィックがゼロであることの確認
  • VPN装置の停止・撤去
  • ファイアウォールルールの整理(旧VPN関連のルール削除)
  • DNSレコードの整理
撤去完了報告書 1週間
6. 運用引き渡し 移行後の運用体制を確立し、お客様に引き渡します。
  • 運用手順書の提供(ACL変更手順、ユーザ追加手順、障害対応手順)
  • 管理者への操作レクチャー
  • 移行前後の品質比較レポート
  • テクニカルサポートへの引き継ぎ
運用手順書
品質比較レポート
1週間

※上記の期間目安は、従業員100〜500名規模・拠点数5〜20程度の企業を想定しています。
※規模や複雑さにより、全体で1〜4か月程度の期間を見込みます。

移行時の技術的な対応事項

ACL設計(アクセス制御の翻訳)

既存VPNのファイアウォールルールやACLを棚卸しし、Tailscale ACLに翻訳します。 従来型VPNでは「ネットワーク単位」で許可されていたアクセスを、Tailscaleの「ユーザ×デバイス×ポート」のゼロトラストモデルに再設計します。 これにより、移行前よりもセキュリティが強化されます。

ルーティング最適化

従来型VPNのハブ・アンド・スポーク構成(全トラフィックが中央のVPN装置を経由)を、TailscaleのP2Pメッシュ構成に移行します。 Subnet Routerの配置設計、Split DNS(社内DNSと外部DNSの使い分け)の設定、4via6によるアドレス衝突解決など、ルーティングに関する技術的な課題をすべて解決します。

認証統合(IdP連携)

Tailscaleは、Azure AD(Entra ID)、Okta、Google Workspace、OneLoginなどの主要なIdP(Identity Provider)と連携できます。 既存VPNで使用している認証基盤とTailscaleを統合し、シングルサインオン(SSO)やSCIMによるユーザ自動プロビジョニングを設定します。 VPN移行を機に認証基盤を整理・統合するお手伝いも可能です。

品質計測・比較

移行前の既存VPN環境と移行後のTailscale環境で、同一の計測条件で通信品質を比較します。 Catchpoint Endpointモニタリングにより、レイテンシ、パケットロス、接続確立時間を定量的に計測し、移行による改善効果を数値で証明します。 この計測データは、経営層や情報セキュリティ部門への移行成果報告にもご活用いただけます。

導入事例

全社IPsec VPNからの3か月段階移行(従業員300名・拠点12か所)
課題:全社で利用中のIPsec VPN装置が老朽化し、パフォーマンス低下と運用コスト増大が問題となっていた。しかし一括切替は業務リスクが高い。
移行方法:まず情報システム部門(15名)でTailscaleを導入し、既存VPNと並行運用しながら品質を比較。Catchpointによる計測でレイテンシ50%改善を定量的に証明した上で、経営層の承認を取得。その後、本社→支社→工場の順に、部署単位で3か月かけて段階的に移行を完了。
成果:VPN装置12台の運用・保守コストを削減。ファームウェア更新作業(年4回×12拠点)が不要に。ACLによるゼロトラスト化で、情報セキュリティ監査の指摘事項もゼロに。
SSL-VPNの緊急移行(脆弱性公表への対応)
課題:利用中のSSL-VPN装置にCriticalレベルの脆弱性が公表され、JPCERT/CCから対応を求められた。パッチ適用だけでは根本解決にならないと判断し、Tailscaleへの移行を決定。
移行方法:緊急性を考慮し、通常の段階的移行を圧縮。まずSSL-VPN装置をインターネットから切り離し、Tailscale経由の代替接続を48時間で構築。その後1週間でACLの精緻化とユーザ展開を完了。
成果:脆弱性公表から72時間以内にSSL-VPN装置のインターネット露出をゼロに。その後のセキュリティスキャンで攻撃面の90%削減を確認。
多拠点OpenVPNからの移行(リモートワーク対応の強化)
課題:自社構築のOpenVPNサーバ(3台)が同時接続数の上限に達し、リモートワーク拡大に対応できなくなった。証明書管理も属人化しており、運用リスクが高い状態。
移行方法:Google WorkspaceをIdPとして連携し、全社員のアカウントを自動プロビジョニング。証明書管理が不要になるTailscaleの利点を最大限活用。2週間のパイロット後、全社展開を1か月で完了。
成果:同時接続数の制限が解消。証明書管理の属人化リスクがゼロに。P2P接続により、従来OpenVPNサーバ経由だった拠点間通信のレイテンシが60%改善。

料金体系

既存VPN移行サービスは、プロフェッショナルサービスとして提供します。

VPN移行サービスの料金
項目内容料金
現状調査・移行計画既存VPN環境の棚卸し、ACL設計、移行計画書の策定プロフェッショナルサービス
の時間単価
(1時間3万円・税抜)
パイロット導入先行部署への導入、並行運用、品質比較計測
段階的展開ユーザ展開、IdP連携設定、Subnet Router追加設置
旧VPN撤去・引き渡し旧環境の撤去、運用手順書の提供、管理者レクチャー
品質計測Catchpoint Endpointモニタリングによる移行前後の品質比較ネットワーク品質監視サービス
(Premium / Enterpriseプランのオプション)
ハードウェアSubnet Router用の産業用LinuxBox、Tailscale対応ルータ等実費(ハードウェア構築・組込み支援参照)

※プロフェッショナルサービスの最小消費単位は10分です。
※プール契約(事前に時間をまとめて購入し、月をまたいで消費する方式)が、移行プロジェクトにはおすすめです。詳細はプロフェッショナルサービスのページをご参照ください。

費用感の目安

規模別の移行費用目安
企業規模従業員数拠点数移行期間費用目安
(プロフェッショナルサービス分)
小規模〜50名1〜32〜4週間30〜60万円
中規模50〜300名3〜101〜2か月60〜150万円
大規模300名〜10〜2〜4か月150万円〜

※上記はプロフェッショナルサービスの費用のみの目安です。Tailscaleのライセンス料、ハードウェア費用は別途かかります。
※既存VPNの複雑さ、ACLの数、Subnet Routerの必要台数等により大きく変動します。正確なお見積りは、現状調査の後にご提示します。

よくあるご質問(FAQ)

Q. 移行中に業務が停止するリスクはありますか?
並行運用を原則としているため、移行中も既存VPNは稼働し続けます。 Tailscaleへの切替は段階的に行い、各段階で問題がないことを確認した上で次に進みます。 万が一問題が発生した場合は、即座に旧VPN環境にロールバックできる手順を事前に策定します。
Q. Tailscaleと既存VPNは同時に動作できますか?
はい。TailscaleはWireGuardベースのオーバーレイネットワークとして動作するため、既存のVPN環境と干渉しません。 並行運用期間中は、同じ端末上でTailscaleと既存VPNクライアントを共存させることが可能です。 ただし、ルーティングの競合が生じる場合は、Split Tunnelの設定やルーティングの調整で対応します。
Q. 移行にあたって、ユーザ側の作業はどのくらいありますか?
ユーザが行う作業は、Tailscaleクライアントのインストールと、IdP(社内の認証基盤)でのログインのみです。 MDM(モバイルデバイス管理)をご利用の場合は、管理者がリモートで一括配布することも可能で、ユーザ側の作業をゼロにできます。 展開手順書やFAQドキュメントも弊社で作成します。
Q. 既存VPNの設定情報やログの提供は必要ですか?
はい、現状調査フェーズで以下の情報をご提供いただきます。
  • VPN装置の設定ファイル(コンフィグ)
  • ファイアウォールルール / ACL
  • VPN接続ログ(誰がどこにアクセスしているかの把握に使用)
  • ネットワーク構成図
これらの情報をもとに、既存のアクセスパターンをTailscale ACLに正確に翻訳し、移行後に「前は繋がったのに繋がらなくなった」という問題を防ぎます。
Q. VPN装置が保守切れ・サポート終了の場合でも移行できますか?
はい、対応可能です。 むしろ、保守切れのVPN装置は脆弱性パッチが提供されないため、Tailscaleへの移行を強く推奨します。 緊急性が高い場合は、SSL-VPNの緊急移行事例のように、まずVPN装置のインターネット露出をゼロにし、その後ACLの精緻化を進める手順も可能です。
Q. SD-WANやZTNAからの移行も対応していますか?
はい。クラウド型のZTNA / SD-WANソリューションからTailscaleへの移行も支援しています。 これらのサービスは高機能ですが、ライセンス費用が高額であったり、自社の要件に対して過剰な機能を持つ場合があります。 Tailscaleはシンプルかつ低コストでゼロトラストネットワーキングを実現でき、必要に応じてCatchpointMailDataなどの専門サービスと組み合わせることで、最適なセキュリティ体制を構築できます。
Q. 移行後のサポート体制はどうなりますか?
移行完了後は、テクニカルサポート(全プラン無料)に引き継ぎます。 Tailscaleの操作方法や障害対応は、プランに応じた体制で支援します。 移行後もACLの見直しやネットワーク構成の最適化が必要な場合は、引き続きプロフェッショナルサービスをご利用ください。